Dear Hero
部屋の掃除は前日にバッチリ終わらせた。
元々そんなに散らかす方でもないけど、掃除機は隅の方までしっかりかけたし、見られちゃまずい物はベッド下の奥に隠した。
恥ずかしくない部屋ではある……はず。
約束していた時間よりも15分も早く、紺野は待ち合わせ場所へやってきた。
「……早くね?」
「時間に遅れるなんて嫌だもん。テツくんこそ早くてびっくりした」
「紺野を一人で待たせたくないから早く来た」
「……っ」
「よかったよ。間に合って」
待ち合わせていたのは、紺野の家の近くの公園。
座って待っていたジャングルジムから飛び降りると、小さな声で「ありがとう」と呟くのが聞こえた。
「……一人でって公園じゃない。こんな近くまで迎えに来てくれなくても良かったのに」
「俺ん家まで遠い方が、紺野といっぱい歩けるじゃん」
「………テツくん、成績は残念なのにこうゆうのはよく頭が回るんだね」
「それ、褒め言葉って事でOK?」
「お任せするわ」
あの日サラリと零した俺の頼みは、紺野に嫌と言わせる事なく今日まで来てしまった。
この後は、俺の家で一緒に勉強をする。
「俺の家に来ないか」とダメ元で聞いてみたら、あっさりと「じゃあお邪魔します」と返ってきた。
男の家に女が来るっていう事は、ちょっと警戒心持たれると思っていたのに、あまりにも即答で返ってきたもんだから、もしかしたら俺はそういう対象にすら見てもらえてないのかもと思って一晩だけ寝付けなかった事がある。
次の日には、来てくれるならいいじゃん、ラッキーって思考に切り替えた俺、超ポジティブ。
元々そんなに散らかす方でもないけど、掃除機は隅の方までしっかりかけたし、見られちゃまずい物はベッド下の奥に隠した。
恥ずかしくない部屋ではある……はず。
約束していた時間よりも15分も早く、紺野は待ち合わせ場所へやってきた。
「……早くね?」
「時間に遅れるなんて嫌だもん。テツくんこそ早くてびっくりした」
「紺野を一人で待たせたくないから早く来た」
「……っ」
「よかったよ。間に合って」
待ち合わせていたのは、紺野の家の近くの公園。
座って待っていたジャングルジムから飛び降りると、小さな声で「ありがとう」と呟くのが聞こえた。
「……一人でって公園じゃない。こんな近くまで迎えに来てくれなくても良かったのに」
「俺ん家まで遠い方が、紺野といっぱい歩けるじゃん」
「………テツくん、成績は残念なのにこうゆうのはよく頭が回るんだね」
「それ、褒め言葉って事でOK?」
「お任せするわ」
あの日サラリと零した俺の頼みは、紺野に嫌と言わせる事なく今日まで来てしまった。
この後は、俺の家で一緒に勉強をする。
「俺の家に来ないか」とダメ元で聞いてみたら、あっさりと「じゃあお邪魔します」と返ってきた。
男の家に女が来るっていう事は、ちょっと警戒心持たれると思っていたのに、あまりにも即答で返ってきたもんだから、もしかしたら俺はそういう対象にすら見てもらえてないのかもと思って一晩だけ寝付けなかった事がある。
次の日には、来てくれるならいいじゃん、ラッキーって思考に切り替えた俺、超ポジティブ。