Dear Hero
「今日は、ありがとな」
家の前まで送り届けると、紺野はちょっとだけ名残惜しそうな顔をした。
ばか、勘違いするだろうが。
「こっちこそ……ありがとう。結構、楽しかった」
「よかったら、またおいでよ。もちに会いにでもいいからさ」
「もちくん目的でいいの?」
「そりゃ…俺に会いに行くって言ってくれた方が嬉しいけど」
「ふふっ。どっちにしようかなぁ」
「俺、またもちに嫉妬しそう……」
項垂れる俺の前で、元気に笑う紺野。
あぁ、元気になる。
「じゃあ、また来週」
紺野が門に手をかける。
鼓動が、どんどん早くなっていく。
喉が引っ付いてしまったように、声がなかなか出ない。
腹から力を入れる。
「…っ紺野!」
思ったより大きな声が出てしまって、紺野と共に俺自身も驚く。
「……どうしたの?」
「来週の週末、空いてる?」
「来週……は特に何もないけど…」
「俺、今月末誕生日なんだ」
「……!」
「一日、紺野の時間が欲しい」
「……」
「俺と、デートしませんか?」
「……っ」
夕陽に背を向けていてよかった。
逆光で、不安で堪らない俺の表情はわからないはず。
代わりに、突然の誘いに戸惑う紺野の表情はよくわかる。
静寂が二人を包む。
紺野は、俺をじっと見つめたまま動かない。
俺も、目を離せない。
心臓が痛くて、息ができない。
ふっと紺野が目線を逸らす。
ごくりと喉が鳴った。
「………する」
「……っ!」
こちらを見ずに呟かれた返事に、思わず「…っしゃぁ!!」とガッツポーズした。
「またそれ?」なんて言いながらも、紺野はくすくすと笑っている。
ご機嫌で帰ってきた俺からのチューの嵐に、もちはすこぶる嫌そうな顔をしていた。
家の前まで送り届けると、紺野はちょっとだけ名残惜しそうな顔をした。
ばか、勘違いするだろうが。
「こっちこそ……ありがとう。結構、楽しかった」
「よかったら、またおいでよ。もちに会いにでもいいからさ」
「もちくん目的でいいの?」
「そりゃ…俺に会いに行くって言ってくれた方が嬉しいけど」
「ふふっ。どっちにしようかなぁ」
「俺、またもちに嫉妬しそう……」
項垂れる俺の前で、元気に笑う紺野。
あぁ、元気になる。
「じゃあ、また来週」
紺野が門に手をかける。
鼓動が、どんどん早くなっていく。
喉が引っ付いてしまったように、声がなかなか出ない。
腹から力を入れる。
「…っ紺野!」
思ったより大きな声が出てしまって、紺野と共に俺自身も驚く。
「……どうしたの?」
「来週の週末、空いてる?」
「来週……は特に何もないけど…」
「俺、今月末誕生日なんだ」
「……!」
「一日、紺野の時間が欲しい」
「……」
「俺と、デートしませんか?」
「……っ」
夕陽に背を向けていてよかった。
逆光で、不安で堪らない俺の表情はわからないはず。
代わりに、突然の誘いに戸惑う紺野の表情はよくわかる。
静寂が二人を包む。
紺野は、俺をじっと見つめたまま動かない。
俺も、目を離せない。
心臓が痛くて、息ができない。
ふっと紺野が目線を逸らす。
ごくりと喉が鳴った。
「………する」
「……っ!」
こちらを見ずに呟かれた返事に、思わず「…っしゃぁ!!」とガッツポーズした。
「またそれ?」なんて言いながらも、紺野はくすくすと笑っている。
ご機嫌で帰ってきた俺からのチューの嵐に、もちはすこぶる嫌そうな顔をしていた。