Dear Hero
……あ、やばい。
この顔超イイ。
写真に撮って待ち受けにしたい。

いや、今はそれどころじゃない。
キス。そう、キス。


……あれ。キスって、どうするの?
チューしたらいいんだよな?
最初ってどんくらいするもん?一瞬?ずっと?

どうしよう。緊張して息がどんどん荒くなる。
これじゃただの変態おじさんじゃん。
いや、そんな事考えてる場合じゃなくて、え、どうしたらいいの?これ。


え?え??え???



気づいたら、目を開けた飛鳥がジロリと睨んでいた。

「……何してるの?」
「えっと…ちょっと、心の準備を……」
「目閉じたらするって言ったのに」
「……ハイ、すいません」
「したくないの?」
「したいです」

飛鳥の両手が俺の頬を包み込むように触れた瞬間、唇に温かさが広がった。


「………っ」


顔を離した飛鳥は、真っ赤な顔で睨んでいる。

「私が!したかったからしただけだから!」
「……っ」
「……私ばっかりがしたがってるみた……んっ」

拗ねるように呟く飛鳥の唇を塞いだ。
やわらかさを確かめるように、何度も食む。


「……かっこ悪くてごめん」
「……っ」
「でも」
「……っ」
「ちょっと嬉しかった」
「………っ」
「飛鳥、大好き」

飛鳥に話す暇もないくらいのキスを降らせたら、苦しいと殴られた。



三年越しに叶った俺のファーストキスは、大好きな彼女に奪われてしまいました。
でも、そんな思い出も俺たちらしくていいんじゃないかなって。




< 310 / 323 >

この作品をシェア

pagetop