Dear Hero
だいぶみんなも酒が回ってきて、鍋に手を出す回数も減ってくる。
残った分は、明日俺が食べればいっか。

「依、残った野菜全部入れるぞ?」
「………」
「……依?」

会話に参加せずに静かににこにこ聞いているのはいつもの事だけど、黙ったままの依の顔を覗き込む。
俺が持たせたウーロン茶のグラスを持ったまま、ぼーっとしていた。
透き通るように白い肌が、首元まで赤く染まっている。
チューハイのグラスはちょっとしか減っていないのに。
………そういえばおじさんは酒苦手って言ってた気がする。
こんなところも依はおじさん似だったか。


「依。大丈夫か?気持ち悪くない?」

頬をぺちぺち叩いて、持ったままのグラスを預かりテーブルに置く。


「………あつい」
「え?」


そう呟くと、依はガバッと着ていたセーターを脱いだ。

「!?」

俺はもちろん、紺野を始め潰れかけていた哲ちゃんまでもがぎょっとする。
下にブラウスを着ているとはいえ、依らしからぬ挙動に慌てる。


これはもしかして……
もしかしなくても酔っている…!

< 319 / 323 >

この作品をシェア

pagetop