秋の月は日々戯れに
「詳しいんだな」と言ったら、受付嬢はいたずらっ子みたいな顔でふふっと笑った。
「そういうちょっとした情報を集めるのが、好きなんです。入社当時からコツコツ集めているので、今の私のデータベースは中々侮れませんよ」
なんでも、社員は当然の如く、さらにはよく荷物を届けに来る宅配業者や取引先、掃除のおばちゃんに至るまで、受付嬢のデータベースには、幅広く色んな人達の情報が入っているのだとか。
「先輩さんも、何かご相談ごとがあればいつでもどうぞ。人に関する情報のみならず、最近流行りのプレゼントや、素敵なお店の情報なんかもありますから」
なるほど、その情報を頼りに、男性社員達はこぞって相談を持ちかけに来るのかと、彼は密かに納得した。
「今日のお昼、拓は何か言っていましたか?」
唐突な問いかけに彼は首を傾げるも、しばらくして思い至ったように「ああ」と呟いた。
「羨ましがってたぞ。自分は食事に行きたくても行けないのに、ずるいって」
ふふっと可笑しそうに笑ってから「やっぱり」と受付嬢は言った。
「そうじゃないかと思ったんです」
そう言ってまたしばらく、受付嬢はクスクスと笑った。