天神学園のお忍びな面々
レオと蘭丸は、当然美緒に擦り寄る。

「見たか、みぃ。紀州を体張って止める俺の雄姿!」

「それを言うなら、最後に紀州を沈黙させたのは俺の手柄だぞ!」

「何言ってんだ、坊ちゃんやリュークと3人がかりだったじゃねぇか」

「お前だって龍鬼と2人がかりだったろ!」

相変わらず見苦しい言い争いをする2人。

「2人とも」

美緒はフワリと、2人の首に手を回して抱き寄せる。

「無事でよかった…もう無茶はしないで下さいね、蘭丸先輩も、レオも」

「お、おう…」

「みぃが…そう言うなら…」

美緒のふくよかな胸に抱かれながらも、殊勝な態度の2人。

「マモル」

そんな光景を見ながら、エレナがマモルに歩み寄る。

「エレナ殿」

マモルは、些か元気がなかった。

リューク、龍鬼、レオ、夕城三人衆。

それぞれが紀州の暴挙を止める為に奮迅した。

特に夕城三人衆は前線に立っての活躍。

蘭丸と牡丹は、今回の戦いの要というべきだろう。

それに引き換え自分は…。

「あら、そうなんですか?」

エレナはマモルに背を向ける。

「蘭丸の臥龍の力を乗せた一撃を命中させる、その間隙を生み出したのは貴方の疾風迅雷の動きがあってこそだと思ったのですけど…本人がそう言うのならば、私の勘違いなのでしょうねっ。労いの言葉は無しにしておきましょうか」

「え…」

マモルが慌てる。

「エレナ殿っ、俺に労いの言葉を、是非っ!」

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