イケメンエリート、愛に跪く
舟はジャスと顔を見合わせ、すぐにソファに座った。
舟の見解では、この新しく就任した局長は、先見の明を少なからず持っていると踏んでいる。
いわゆる昔ながらのやり方にこだわる人間ではないと。
局長は舟とジャスに丁寧に挨拶をして、今日連れて来ているメンバーの自己紹介を始めた。
そして、また、くだらない名刺交換が始まる。
舟はその一連の作業はジャスに任せた。
ジャスは舟とは真逆で、見た目は完全な外国人だが中身は完璧な日本人だった。
ずっと日本で育ったジャスは、舟よりはるかに日本の社交辞令や忖度や配慮など日本独特の振舞いに詳しい。
「それで、高市様、今日ここへお越しいただいた理由は?」
舟はこういう言い回しに本当に慣れない。
「もちろん、Canhuuとの契約の件です」
舟が一言そう言うと、局長を始め他の部下も顔がほころぶのが分かった。
「私達の局を選んでいただいたと解釈してもよろしいでしょうか?」
こういう態度を腰が低いというのだろう。
それを美徳とは思えない自分は、やっぱり日本人とは言えない。
「あ、いや、まだ決定したわけじゃありません。
実際、他の局の資料も全てに目を通した結果、僕達が満足するほどのアピールポイントは何もなかったので。
その状況で、僕が第一にここの局を選んだのは、新しく就任した局長のこの傾いた会社を立て直したいという意気込みを買ったからです」