お気の毒さま、今日から君は俺の妻

「ああっ……」


 澄花は強く押し寄せてくる波に、悲鳴を上げた。

 目の前が真っ暗になったかと思ったら、自分の意志とは違う震えが、全身を襲う。


「ま、まって、りゅ、いちろ、さんっ……」


 こんなことを毎晩されたら、体がいくつあってももたない。もつ自信がない。

 どうにかして押さえてもらいたいと、龍一郎に手を伸ばすと、その手に龍一郎の指が絡み、ぎゅっと握りしめられた。

 シーツに縫い留めるように押し付けられた手から、龍一郎の燃えるような熱が伝わってくる。


「なにを待てと言うんだ。大丈夫だ。怖がらなくていい。君は俺を愛する必要はないんだ。愛さなくていい……ただ側にいてくれたらいい……」


(そんな……)


 何度も繰り返し、繰り返し。
 龍一郎は戸惑う澄花に『愛さなくていい』とささやいた。


『こうやって、愛するのは俺だけでいいんだ』と――言い含めるように、口にし続けたのだった。



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