お気の毒さま、今日から君は俺の妻
彼をきちんとひとりの人間として愛さないまま、抱かれて、気持ちいいと思ってしまった自分が、とても悪い人間のような気がした。
(……私、自分が思うよりずっと、だめな女だったんだ)
春樹が死んでから七年。ただぼんやりと日々をやり過ごす自分には人として価値がないから、どうなっても構わないと思った。
だから自分を担保にして、恩人を助けられるなら儲けものだと思っていたら、こんなことになってしまった。
(私は葛城澄花になった)
ということは、澄花は龍一郎の人生に、責任を持たなければならなくなったということになる。
この結婚によって、自分の人生が自分ひとりのものではなくなったとようやく気が付いて、澄花は今さらながらいろんなことが怖くなった。
(いっそ彼が手ひどく自分を扱ってくれたら、こんなふうに申し訳ない気分にならなくて済むのに……)
だが残念ながら今のところ、龍一郎にその気配はない。むしろ必要以上に気遣われて、大事にされている。
(そんなの、困る……)