お気の毒さま、今日から君は俺の妻
彼女は名前を浜田珠美(はまだたまみ)といい、昨年入社した新人だ。入社してからずっと天宮の大ファンである彼女は、憧れの天宮と、総務部の先輩である澄花が話をしているのを見て大興奮したらしい。
まん丸の目がウルウルと輝きながら、澄花を見つめている。
背の低い彼女が着ている女の子らしい白いニットワンピースのお尻から、ふさふさと揺れる尻尾が見えたような気がして、澄花は自然と笑顔になった。
「どうなんですか、先輩っ!」
そんな澄花を見て珠美は焦れたように言いつのる。
「どうって……別にたいしたことないよ」
自分に妹がいればこんな感じだろうかとほほえましく思いながら、澄花は苦笑しうなずいた。
「水切して、花瓶の水を交換していただけ。それなのに“いつもありがとう”って言ってくださって……」
天宮さんは気が利くし、いい人よね、と言葉を続けようとしたら、
「いやぁぁぁーーっ!」
珠美は叫んで、その場にしゃがみこんでしまった。
「えっ、どうしたの、タマちゃん?」