お気の毒さま、今日から君は俺の妻
澄花はびっくりして、ボールのように丸くなった後輩の前にしゃがみこむ。
すると美珠は大きくてまん丸な目をさらに潤ませて、子供のように唇を尖らせた。
「羨ましくて死にそうですっ!」
「死にそう……」
大げさなと思ったが、美珠は本気のようだ。
「当然ですよっ、天宮さんにありがとうって言われるなんて、先輩すごすぎますっ! もしかして寿命がのびるのではっ?」
そう叫んだかと思ったら、今度はまたピョーンと跳ねるように立ち上がり、雄々しくこぶしを天井に突き上げた。
「私も明日から早起きして、毎朝花瓶のチェックをしようと思いますっ! あっ、いやでもそんなのあざと過ぎますよね……先輩みたいに普段の行いがいいからそうやって天宮さんから褒めてもらえるんであって、狙ってやっても褒めてはいただけないですよねーっ……はーっ、難しいっ……!」
珠美の表情が忙しそうにくるくると変わる。