お気の毒さま、今日から君は俺の妻
レストラン『Bastien(バスチアン)』は、澄花が生まれて初めて見る美しい空間だった。
「龍一郎さん、川があるわ」
澄花は驚きながら周囲を見回す。恵比寿にこんなレストランがあることすら知らなかった。敷地内やとにかく緑が多く、よく手入れされた庭と周囲の視界を遮るための樹木がしげっている。そして敷地内には川があり、石橋を渡らなければレストランには入れない。
入り口のドアには黒服の男性がふたり立っており、中に案内されるがまま進んでいくとホールに出て、十ほどのテーブル席は全て満席だった。頭上には大きなシャンデリアが目がつぶれそうなくらいキラキラと輝いている。
フロアにはグランドピアノが置いてあるので、時と場合によっては演奏されるのかもしれない。
(まぶしい……きれい……お城の中みたい)
披露宴会場だった老舗ホテルのレストランも相当に美しかったが、ここはまた別格の華やかさだった。