お気の毒さま、今日から君は俺の妻
美しい、まるでビーズで出来た細工物のようなアミューズから、デザートまで、食事はどれも美味しかった。相変わらずメニューの内容を聞いてもすぐには理解できなかったが、尋ねれば龍一郎がひとつひとつ丁寧に教えてくれるので話も弾んだ。
「ごちそうさまでした」
澄花はスプーンを置いて、うっとりと目を閉じる。
季節のフルーツにかかっていたブランデーは最高級の年代物だ。小さな赤いマカロンとハーブティーはよく合った。
「龍一郎さん、よくここに来るんですか?」
「いや……よく、ではないな。たまにだ。フランスで働いていた時のほうがよく通ったと思う」
バスチアンはもともとパリの有名シェフで、世界中に店を持っている。この恵比寿も彼の店のひとつだという。バスチアン自身は最近料理人を引退して、経営者として辣腕をふるっているらしく、どの店も三ツ星という徹底ぶりだった。
「そういえば龍一郎さんはフランスで働いていたんですよね」
「ああ。こっちの大学を辞めて、パリに留学して、そのまま向こうの花屋で働いていた」