お気の毒さま、今日から君は俺の妻

「栫さん」


 天宮もその場にしゃがみこんで床に片膝をつき、澄花の肩に手をのせ顔を覗き込んできた。


「そのピアス、いつまで確実にあったか覚えてる?」
「えっと……食事をしているときは、あったと思います……!」
「じゃあ大丈夫だ。このあたり、どこかにあるよ。一緒に探そう。人も呼ぶからね。大丈夫だよ。必ず見つかるから心配しないで」


 天宮はそう言ってにっこりと微笑むと、すっと立ち上がって階段を使い階下に降りていき、ものの数分で黒服の男性と女性を一人ずつ連れて戻ってきた。


「彼女のピアス……左と同じ、パールのピアスがどこかにあると思うので、一緒に探してもらえますか」
「かしこまりました」


 レストランのスタッフはしっかりとうなずき、タイルの上に手のひらを滑らせながら、ひざまずいて探し始めた。こんなことをさせるなんてと、申し訳ないと思う気持ちでいっぱいになった。

 だが普段は物分かりのいい、あきらめることになれている澄花でも、母の遺品は別だ。


「ごめんなさいっ……」


 謝りながらも、必死でピアスの行方を捜した。


「――澄花?」


 低い声に名前を呼ばれて、ハッとして振り返るとドアから龍一郎が姿を現すところだった。


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