お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 母の遺品と同じものは買えない。これは澄花にとってただのピアスではない。思い出だ。


(どうして……どうしてそんなひどいことを言うの!?)


 澄花の目の前が真っ白になる。
 唇を震わせながら澄花はたまらず叫んでいた。


「なんでも買えるって思わないで! ただのモノじゃない! そこには心があるのよ!」


 その瞬間、雷に打たれたように龍一郎は体を震わせ、澄花を振り返る――。

 ネイビーブルーの瞳が矢のように澄花を射抜く。そして同時に、彼につかまれていた手首が、ぎしりと音を立てた。


「あっ……!」


 たまらず澄花は悲鳴を上げた。

 手首から全身に痛みが走り、目眩がした。平衡感覚を失い、足がふらつき、よろよろと壁に向かって倒れてしまった。


「いた……い……」


 澄花は自分の左手首をかかえるようにしてうめいていた。

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