お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 普段から自分は我慢強いほうだと思っていたが、ズキズキと激しい痛みで吐き気が襲ってくる。


「っ……」


 次の瞬間、ハッとしたように龍一郎はつかんでいた手を離す。まるで鉄の棒をいきなりつかんで、その熱さに驚いてしまったような。そんな勢いだった。
 だが急に自由になった澄花は、その場にずるずるとしゃがみこんでしまった。


「栫さんっ?」


 龍一郎がやってきてからの急展開に、どうしたものかと立ち尽くしていた天宮がそれを見て慌てて駆け寄ろうとしたが、

「――澄花っ!」

 それよりも先に龍一郎が悲鳴のように澄花の名前を呼んで、床にひざまずき澄花の肩に手を乗せた。


「澄花っ……」


 龍一郎の美しい顔は真っ青で、完全に色を失っていた。

 だが澄花とて青ざめるのを通り越して、真っ白になっている。
 目の前にいるはずの龍一郎が、まるで知らない人のように見えた。


(ひどいっ……ひどいわ……私がなにをしたっていうの!? 落としたピアスを探すことがそんなにみっともないことなの!?)


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