お気の毒さま、今日から君は俺の妻

「いやっ……さわらない、でっ……!」


 澄花の言葉に、龍一郎は弾けるように澄花の肩から手を離す。


「くっ……」


 そして澄花は壁によりかかったまま足に力を込めて、立ち上がろうとするが、興奮と怒りと痛みのせいか完全に脳と体がバラバラで、思うように体が動かない。


「澄花……」


 そんな様子を見て、龍一郎はやはり手を差し伸べるが、

「やめてっ……!」

 自由になる右手で、龍一郎の手をを強く振り払った。


「私にっ、もう二度とっ……さわらないでっ……! 龍一郎さんなんか、大嫌い!」


 まるで子供のような拒絶の言葉を吐くと同時に、澄花の大きな目から、ぽろぽろと涙がこぼれた。


「澄花……」


 龍一郎はその場にひざまずいたまま呆然と澄花を見上げたが、澄花は痛みでクラクラしていた。


(痛い……!)


 どんどん手首が腫れていくのが分かる。だがこの場を離れるわけにはいかないのだ。


(ピアス……探さなきゃ……お母さんの……!)

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