お気の毒さま、今日から君は俺の妻
通された座席にはすでに食事の用意がされていた。畳敷きの上にテーブルと椅子があり、窓の外には地下から上まで吹き抜けになっていて、中庭が広がっている。真ん中には紅葉の木が植えられていた。秋口には目にも美しい紅葉が見られるのだろう。
「わー! わー!」
テーブルの上を見て、珠美が目を輝かせる。
ガラスの器にのった、雲丹がのった豆腐のわさび餡がけ。お麩のごま酢和えに、エビのあえもの。アスパラのお吸い物にあぶった鯖のお寿司。生姜ご飯とお味噌汁、香の物と、目にも美しいものが少しずつ乗せられている。
美味しいものが少しずつ、女子が大好きなパターンだ。
「きれーい、おいしそーう!」
きれいなものが大好きだという珠美は、きゃっきゃと笑顔になってぱしゃぱしゃと写真を撮った後、きちんと手を合わせて元気よく「いただきますっ!」と頭を下げた。
「あっ、どうぞ召し上がってください」
杉江は相変らず目を丸くしている澄花と、はしゃぐ珠美に向かって、手を差し出した。
「いただきます……ごちそうになります」
澄花も軽く会釈をして、すべすべの美しい箸を手に取った。