お気の毒さま、今日から君は俺の妻
食事をしながら話を聞いてみれば、杉江はこの料亭を含めたグループ会社の御曹司らしい。兄弟は三人で、兄と姉がひとりずつ。ふたりともそれぞれ違う会社で働いているのだとか。いずれ誰かが跡を継ぐかもしれないが今のところ全員仕事が楽しく、そのつもりはないらしい。
「KATSURAGIに入ったのは俺が花が好きだからなんですけど」
杉江は最後のお茶を飲みながら、しみじみとうなずき、
「っていうかあの……」
チラチラと視線を向けて渋い表情になった。
「今さらなんですけど……副社長の奥様ですよね?」
「あ」
澄花はハッとした。
「ご存じだったんですか」
「どうして知ってるんですか~? 私だって最近教えてもらったのに」
デザートをもぐもぐしながら代わりに珠美が問いかける。
珠美には結婚を打ち明けた後、相手の葛城龍一郎についても話している。だが杉江がいくらKATSURAGIの社員といっても、結婚相手である澄花のことまで知っているとは思わなかった。