お気の毒さま、今日から君は俺の妻
すると杉江はふふっと目を細めた。
「実は俺、副社長の親類にあたるんです。俺の母と社長が従弟同士で、小さい時から仲が良かったらしいんですよ。だから結婚式も親は行ってて」
「お父様と……そうだったのね」
社長というのはもちろん龍一郎の父のことだ。穏やかな人柄なので親戚づきあいも穏やかに続いているのだろう。
「写真だけあとから見せてもらって、ビックリしました」
あははと笑う杉江は、それから照れたように髪をクシャクシャとかき回す。
「でもある意味俺のおかげで、おふたりが結ばれたかと思うと、ドキドキしますねっ!」
「――そうですね」
杉江はなにも知らないのだ。
澄花がお金欲しさに、丸山夫妻を助けてほしくて、彼と取引したことを――。
そのことを思いだして、なんとも言えない気持ちになる。
「ちょっと、お手洗いに行ってくるわね」
いてもたってもいられなくなった澄花は、軽く頭を下げて個室を出て行った。