お気の毒さま、今日から君は俺の妻
化粧室でバッグを取り出して、着信を確認するが、龍一郎から連絡はない。
「龍一郎さん……」
そしてこちらからかけたところで取ってもらえるとは思えない。
「どうしたらいいんだろ……」
はぁ、とため息をつきながら化粧室を出ると、杉江と珠美がお互いにスマホを持って突き合わせていた。
「あら」
「あっ、せんぱーい!」
珠美はウフフと笑って、「私も御手洗い~」と入れ替わるように中に入っていく。
廊下には杉江と澄花が残された。
「あ、えっと、連絡先を交換しようということになりましてっ!」
なぜか杉江が顔を真っ赤にして澄花に報告してきた。義理堅いなと思いながら、澄花は笑う。
「私に言わなくてもいいのに」
さすが珠美だ。さっそく杉江と連絡先を交換したらしい。
だがふたりともちゃんとした大人なので、報告の義務などもちろんない。
「でも、龍兄ちゃんのお嫁さんなんでっ……! 俺にとってもお姉さんみたいなものなので!」
杉江ははにかむように笑った。