お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 杉江は澄花の顔をじっと見つめた後、おもむろに電話を始めた。

 いったいどこに?と不安になる澄花に、「母にかけてます」と教えてくれた彼は、電話が繋がってから、スマホを澄花に差し出した。
 電話の向こうには杉江の母がいて、澄花が名乗ると、結婚式で話す機会がなかったことを残念がってくれた。


『とってもきれいな白無垢姿で、お人形さんみたいだったわね。龍一郎さんもめずらしくうっとりと嬉しそうにあなたを見つめていて……あんな龍一郎さん初めて見たから、貴重なものを見たわねって笑ったのよ』


 杉江の母らしい、血のつながりを感じさせる、おだやかで朗らかな雰囲気が電話口から伝わってきて、澄花はホッとした。


(龍一郎さん……そんな風に私を見ていてくれたんだ)


 余裕がなかった澄花は、まるで式の間のことを覚えていないのだ。嬉しく思いながらも、挨拶もそこそこに、澄花は単刀直入に問いかけた。


「あの、実は龍一郎さんと連絡が取れなくなってしまって……でも、ご実家にいるとも思えなくて……どうしたらいいのか、困っていました。そこで杉江くんにお会いして……昔、龍一郎さんが、杉江さんのお宅に滞在していたと聞いて……なにかご存じなのではないかと思って……」


 だが話せば話すほど、澄花はこれのなにが問題なのかと不安になってしまう。

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