お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 なぜなら龍一郎は大の大人だ。子供ではない。
 他人から見たら、ちょっと連絡がとれないくらいで騒ぐ澄花がおかしいに決まっている。

 だが澄花の本能が、なにかあると叫ぶのだ。
 眠る澄花に愛を囁き、ベッドルームから苦しむようにして立ち去った龍一郎に、なにかが起こっているのだと――。
 だから放ってはおけないのだと、心がざわめく。


『ああ……そうなのね』


 そして澄花のしどろもどろな問いかけに、なにかを察したのだろう。
 杉江の母は、深くため息を漏らした。


「――どういうことでしょうか」


 心当たりがあるのだろうか。

 緊張で喉が渇く。


『龍ちゃんは小さい時から大人顔負けにびっくりするくらい賢くて、でも人に弱みを見せない子だったの。嘘をついてでも、自分が傷ついてでも、誰も傷つかないことを選ぶ男の子だった。だから……誰も龍ちゃんの傷に気づかなかった』
「傷?」


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