お気の毒さま、今日から君は俺の妻
職場に戻った澄花は、デスクでぼんやりとメモを見つめていた。
杉江からもらったメモには、披露山庭園住宅の住所が書いてあった。澄花にとっては縁もゆかりもない土地だ。神奈川県にある、富士山、江ノ島を一望できる超高級住宅地ということくらいしか知らない。
(ここにいったいなにがあるんだろう……)
龍一郎との出会いから、彼が出てった今までを振り返っても、澄花にはまったく予測がつかなかった。だがここに龍一郎がいるというのなら、行くしかない。
強い決意を胸に抱き、澄花は自分の手帳にメモを挟みこむと、それからパソコンをスリープモードから戻し、午後半休の申請を出すことにした。
仕事が終わって行っては遅くなる。
(一刻も早く、龍一郎さんの元へと向かいたい……!)
半休は問題なく承認されたので、二時まで働き、澄花は今日の仕事を終える。
「先輩……大丈夫ですか?」
静かにパソコンを落としている横で、珠美がどこか不安そうに尋ねてきた。