お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「自分含めて、周囲のことに気持ちが向くようになったの。どうでもいいなんて思ってる暇なくなっちゃったみたい」
「ふぅん……よかったじゃないですか」
珠美はフフッと笑う。
「なにかあったんだなぁって思ったんですけど、先輩、悪い顔してませんもん」
「そう?」
思わず手のひらで頬を押さえる。
「ええ。この一年間、お人形のように静かできれいだった先輩も大好きですけど、なんだか落ち着かない、エネルギー燃やしてるっぽい先輩も大好きですよ」
そして珠美はピッと親指を立てると、それからパチンと綺麗なウインクを繰り出す。
「ファイトですよっ、先輩っ!」
珠美の励ましに、澄花から花のような笑顔がこぼれた。
夫婦は支え合うものだという。
だとしたらいま自分がやらねばならないことは、龍一郎の側にいることだろう。
「うん、そうだね。頑張る。ありがとう」
澄花は椅子から立ち上がると、バッグをつかんで急いで総務部を後にした。