お気の毒さま、今日から君は俺の妻

「あっ……!」


 澄花は思わず悲鳴を上げてしまった。
 それはまさに澄花が落としたピアスだった。


「どこにあったんですか!?」


 こんなに早く出てくるとは思わなかった。


「パウダールームに落ちていたって。どう? 栫さんのもの?」
「はい、そうです! 間違いないですっ……!」


 澄花は涙ぐみながら、袋を受け取り、ピアスを取り出した。

 手のひらの上で淡く輝くパールは間違いなく、澄花の母の遺品のピアスだ。


「……よかった……本当にありがとうございます」


 天宮に絶対に出てくると言われてはいたが、やはり不安だったことは否定できない。
 澄花は涙目になりながら、なにもついていない右の耳に、そのピアスをつける。


「片方だけ?」


 天宮が不思議そうに首をかしげる。
 確かに彼の疑問はもっともだった。左耳にはなにもついていないのだから。


「えっと……左は……帰ったら、お……夫に着けてもらおうと思います。これから仲直りする予定なんです」


 あまり天宮を心配させたくないので少しふざけた感じを装って、澄花はそんなふうにおどけたのだが、その気持ちに嘘はなかった。

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