お気の毒さま、今日から君は俺の妻
彼が外したピアスは、また彼につけてもらいたかった。もう悲しい夜は繰り返したくない。そしてまたふたりでやりなおしたい。そんな気持ちが自然と湧き上がってきたのだ。ある意味これは澄花の決意でもある。
だが夫と口にした瞬間、頬がカッと熱くなった。どうやら自分が思っている以上に、龍一郎を夫と呼ぶのは恥ずかしかった。
「照れてる」
からかうように言われて、また顔が赤くなる。
「そういうことを指摘しないでください」
澄花は少しむくれながらも、ふうっと息を吐くと、改めて天宮に頭を下げる。
「本当にありがとうございました。失礼します」
「いえ、どういたしまして」
天宮は肩をすくめて、くるりと踵を返し、走り去っていく澄花を見送る。
「仲直りかぁ……だよなぁ……」
当然、冗談めかして笑う天宮の声は、澄花には届かなかった。
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