お気の毒さま、今日から君は俺の妻
『――えっ!?』
インターフォンの向こうで驚く声がして、それからすぐに門の閂が外れる音がした。
(これって入っていいってことだよね……)
澄花は緊張した手で門を押し、玄関まで百メートルはありそうな、蛇行したアプローチを歩いて、横二メートルはありそうなアルミのドアの前に立つ。
自分で選んでここに来たくせに、ドキドキして、口から心臓が今にも飛び出しそうだ。
澄花はふうっと息を吐いて、それからじっとドアが開くのを見つめていた。
カチャリと、金属の音がする。そして少しずつ開いていくドアから、顔を覗かせたのは――。
「――奥様」
「えっ……古河さん!?」
澄花は見たものが信じられず、飛び上りそうになった。
どこかで聞いたことがあるような気がしたのも当然だ。ドアを開けて顔をのぞかせたのは、龍一郎の運転手である、古河そのひとだったのだ。
「どっ、どうして古河さんがここに?」
「それはわたくしのセリフです。奥様……」