お気の毒さま、今日から君は俺の妻

(私がねん挫をしたとき、龍一郎さんが実家に呼び出されたって古河さんは言っていたわ。でもそれって、嘘だったのかもしれない……)

 実際龍一郎はここにいるのだから。
 ではなぜ古河はそんな嘘をついたのだろう。

 澄花の中で、古河に対して不信感が生まれる。


「なぜ、帰らないといけないんですか? ここに龍一郎さんがいるのなら、会わずには帰れません」


 そして澄花はすっと立ち上がると、リビングから二階へと続く階段を見上げた。


「上ですか」
「奥様っ……!」


 古河の表情が一変した。ビンゴだ!

 澄花はその瞬間、古河がとめるよりもずっと早く、身をひるがえして階段を駆け上っていた。


「龍一郎さん!」


 澄花は名前を叫ぶ。


「龍一郎さん、澄花です! 話がしたいんです、どこにいるの!?」


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