お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 それを聞いた龍一郎は驚いたように息を飲み、唇をわななかせる。


「だから龍一郎さん、お願い。私を愛する前に、もっと自分を大事にして……自分なんてどうでもいいって、そんな風に思わないで!」


 龍一郎は、なぜかこの期に及んでも、自分が愛される価値がないと思いこんでいる。
 だから澄花になにも求めないのだ。

 助けも、愛も――。


「澄花……」


 それから間もなくして。彼から返ってきたのは、

「――そんなことを言われても困る」

 という、思った通りの言葉で。見上げた龍一郎はやはり本当に困っていた。まるで解けない問題を押し付けられたような、そんな顔をしていた。


(ああ、やっぱりそうなんだ……)


 澄花はまた泣きそうになったが、なんとか笑顔を作る。


「困ってもいいけど、受け入れてください……私の気持ち……」


< 259 / 323 >

この作品をシェア

pagetop