お気の毒さま、今日から君は俺の妻
焦ってはいけない。
「受け入れる……?」
「ええ、そうです」
ゆっくりでいい。無理強いはしない。だけど彼にわかってもらいたいのだ。
「私は、世界中の誰が敵になっても、あなたの味方です」
守るだけじゃない。愛するだけじゃない。
あなたには守られ、愛される価値がある、そしてどんな時でも不安を分かち合いたいと思っている相手がいるのだと、龍一郎に知ってもらいたかった。
(私じゃ力不足かもしれなけれど……)
じっと自分を見下ろす、龍一郎のネイビーブルーの瞳を見つめる。その瞬間、ふたりの心の間に、確かに通じ合うような空気が流れたと思ったのだが――。
「あなた……離れなさい」
そこで突然、背後から細くて弱弱しい声がした。
「だれ?」
驚いた澄花が声のしたほうを振り返ると、電動車椅子に座った着物姿の老女が、開け放った隣の部屋のドアの影から、近付いてくる姿が見えた。