お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 意味もなく名前を呼ぶと、

「ん?」

 龍一郎は、バスタブに逞しい腕を乗せて、軽く首をかしげる。
 その優しい相づちに、また澄花の顔に熱が集まった。


「どうした」
「あ、あの……」


 澄花は両手で顔を挟み、ドキドキしながら口を開く。


「笑わないで聞いてもらえますか」
「私が君の言うことを笑うはずがない」


 龍一郎はまじめにそう宣言し、ちゃぷんと湯を揺らしながら、居住まいをただした。


「私……確かにすごく恥ずかしいんだけど……」
「けど?」
「恥ずかしいのに、龍一郎さんにくっつきたいって、思ってます……お風呂の中なのに……」


 素直に願望を口にした澄花だが、声に出すと余計に恥ずかしくなった。


「変なこと言ってごめんなさい……」


(今さらだけど、私、彼に恋をしているんだ……だからこんなに、ふわふわするんだわ……)


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