お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「ああ。俺の祖父にあたる人だ。若くして亡くなったから面識はないんだが……派手な美男子だったらしい」
龍一郎は何かを思いだしたのか、澄花の腰に回した手に力を込める。
「祖父の実家は身分はあるが金はないの典型で、祖母の家はその逆だった。というわけで、親同士の利害が一致した政略結婚……昔ならそう珍しい話じゃないだろう」
政略結婚という言葉に、澄花の胸はチクッと痛くなった。
「祖母は祖父を愛したが、祖父はそうじゃなかった……働きもせず、あちこちに女を囲ってはフラフラしていたらしい」
「フラフラ……」
「周囲は、子供が生まれれば人が変わるんじゃないかと期待したこともあったらしいが、もちろんそんなことはなかった」
「子どもって、お父様のことですよね?」
葛城の社長である柔和な義父の顔を思いだしていた。だがどちらかというと、彼は母である葛城琴乃に似ている気がする。華やかな雰囲気はあるが、絶世の美男子というわけではない。
「龍一郎さんは、隔世遺伝だったんですね」