お気の毒さま、今日から君は俺の妻

「ひゃっ……」


 駅近くなので人通りは多い。一瞬ドキッとしたが、

「すまなかった」

 龍一郎が低い声で囁き、肩を抱く指に力を込める。


「帰ったら話す。とりあえず車に乗ってくれ」
「――はい」


 その懇願する声色に、澄花はしぶしぶうなずいた。




 車はそのまま自宅へとまっすぐに向かった。
 リビングのソファにテーブルを挟んで座る。
 いつもなら並んで座るところだが、あえて澄花は隣に座らず正面に腰を下ろした。
 その瞬間、龍一郎は「あ」という顔をしたが、気づかないふりをした。


(そりゃ、車から降りたときはちょっと反省したけど、それで龍一郎さんの態度がチャラになるわけじゃないんだから……!)


 龍一郎はスーツの上着を脱ぎ、ソファーの背もたれに乱雑にかけて、はあ、とため息を吐いた。


「倶楽部では悪かった」
「――」
「だが澄花、きみもいけない」
「――はい?」


 まさか自分が責められると思っていなかった澄花は、目を丸くする。

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