お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「どういうことですか」
「基だ」
「不二さんがなんなんですか」
「あれは来るもの拒まず去る者追わずの軽薄な男だ。今日、女性陣がボイコットしたのも、あいつを取り合ってもめたせいだ」
だからなんだと言うのだろう。
「――龍一郎さんが、人の悪口を言うなんて思わなかった」
とっさに澄花はそんなことを口にしていた。
「くっ……」
その瞬間、龍一郎が見たこともないような悲惨な表情になった。
これは相当凹んでいる。めちゃくちゃに傷ついている。
ということは、どうやら珠美の言うとおりだったのだろうか。だが澄花にはまったく理解できない。
「彼が来るもの拒まず去る者追わずだからってなんだっていうんですか。私には関係ないじゃないですか」
「関係なくはないだろう。基が君に興味を持ったらどうする。そして君があいつを好きになったらどうするんだ」
「なんで私が基さんを好きになるんですか?」
その発想が澄花にはわからない。
だが龍一郎はソファから勢いよく立ち上がった。