お気の毒さま、今日から君は俺の妻

「基と呼ぶな! いや、俺以外の男の名を、そのかわいらしい唇で呼ぶんじゃない! 猛烈に腹が立つ!」
「はっ……腹が立つって……むっ……むちゃくちゃですね、龍一郎さんって……」


 澄花は呆れながら、なぜか急におかしくなった。
 ぷるぷると肩が震えて、笑いがこみあげてくる。


「どうしてそんなに……龍一郎さんって……」
「笑いたければ笑うがいい。俺は口を開けば開くほど、バカになっている。正直泣きたい気分だ……」


 龍一郎は深くため息をつき、それからテーブルをまわって、そのまま澄花の隣にこしを下ろし、コテンと膝に頭を乗せた。


「やきもちですか」
「ああ、そうだ」


 開き直ったように龍一郎はうなずく。


「普段は精いっぱい押さえてるが、俺は独占欲が強い……君を見ていると、いつも俺でいいのか不安になるし、もし万が一君に去られたらと思ったら、どう生きていいかわからない」


(そんな大げさな……)

 と思ったが、龍一郎にとっては本当にそうなのかもしれない。


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