お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 熱っぽくささやいた龍一郎は、そのままきつく、澄花の体を抱き締める。


(ベッド!?)


「あ、あの……」


 心臓がドキドキと跳ねて口から飛び出しそうだった。全身の血が沸騰して体の中で煮えたぎっている。まるで濃厚な蜜の中に突き落とされて、身動きが取れなくなった虫になった気分で、澄花は息すらまともにできない。


「拒否権はない。火をつけたのは君だ」


 龍一郎は体をかがめ、すくうようにして澄花の膝裏に手を入れ抱き上げると、そのままスタスタと部屋を出ていく。


「きゃっ……! ちょっと待ってください、龍一郎さんっ?」


 だが悲鳴をあげる澄花をよそに、レストランのスタッフはさすがプロといったべきか、顔色一つ変えず、ふたりを見送った。

 部屋に戻った龍一郎は、澄花を抱いたまま寝室へと向かう。
 自動で部屋に明かりが灯る中、龍一郎は澄花をベッドの上に横たわらせると、またがる形で膝立ちになり澄花を見下ろした。
 下から見上げる龍一郎は、壮絶に色っぽかった。

 彼は無言で、澄花を見下ろしながらスーツの上着を脱ぎ、床に捨てる。ばさりと広がる上着はまるで彼の翼のようだ。

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