お気の毒さま、今日から君は俺の妻
ゆっくりと呼吸で肩を上下させながら、熱っぽく澄花を見下ろす。
そして思い切ったように澄花の細い肩をつかんで上半身を起こすと、さぐるように後頭部に指を差し込んだ。
龍一郎の細く長い指が澄花の髪の中をまさぐり、Uピンを次々外してベッドの上に落とす。
澄花の長い黒髪が彼の手によって、ゆっくりとほどかれてゆく。
きつく編み込んでいたせいか、ふわふわと波うつ髪を見て、
「美しい髪だ。まるで絵本の姫君のようだな」
龍一郎はどこか懐かしそうに目を細めた。
「姫君……?」
(たまに彼は、こういうことを言うからびっくりする……)
澄花が目をパチパチさせると、龍一郎は大きな手で澄花の頬を包み込み、顔を近づけた。
「ああ、そうだ。君は私の姫君だ」
「じゃああなたは――」
どこかの王様なの、と口にしかけたところで、そっと唇の上に軽いキスが落ちる。
「私は君に仕える騎士だ。君のためならなんでもする」
その言葉にはどこか真摯な響きがあって。
「なんでもって」
冗談だとわかってはいるが、彼の言葉には本当に澄花のためになんでもしてくれそうな気配があって、澄花は少し戸惑ってしまった。