ただ、そばにいたいだけ。






うわぁ。どうしよ……言っちゃった。
断られたらどうしよう、どうしよう。



「……」




無言の新くんに、不安が募る。


やっぱり、言わなきゃよかった……。
行きたくないよね。
だいたい水族館なんて、新くんが行きたいと思うわけないし、想像つかないし。


小さく落ち込むわたしに、




「ふっ……いいよ、別に」



はじめて見た笑顔に、はじめてみたその顔に、胸がときめいた。
……心臓、こわれる。
こんな不意打ちでくるとは思わなかった。




「あ、ありがとうっ」



はじめて見せてくれた笑顔に、嬉しくなった。
わたしだけに見せてくれた、笑顔。


笑ってこたえれば、新くんはまた歩き出した。




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