ただ、そばにいたいだけ。



お言葉に甘えて店内に入らせてもらった。
可愛い小物やぬいぐるみがずらーっと並んでいた。

いるかのぬいぐるみが店内1番人気だそうで
、わたしもそれを手に取ってみる。


「うわ〜可愛い!ね、新くん!」


あ、どうしよう。
思わず言ってしまった。



「どこが」


やっぱりね。
新くんがぬいぐるみに興味持つはずないし。


「だ、だよね…」


話し弾まないなぁ…別に、今更いいんだけどね。
周りを見たらカップルだらけで、みんな楽しそうにはしゃいでいる。
それがちょっと、羨ましかったり。



「これにしない!?」



とか思ってると、右隣のカップルの会話が聞こえてきた。
聞くつもりはまったくなかったけど、この時はなぜか気になってしまった。



「お、いいじゃん」

彼氏さんかな?新くんとは正反対のタイプっぽかった。



「でしょー!このキーホルダーのぬいぐるみ、恋愛にいいって」


可愛らしい彼女さんが、幸せそうに話す。



「どこ情報だよ、それ」



「えー今自分で考えた」



「なんだよそれっ」



なんかもう、聞いてるこっちまで幸せ分けてもらえるんじゃないかっても思うくらい2人の空間は素敵だった。


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