この恋が実るなら


「これなんか、どうかな。先週パリに買い付けに行った時に見つけた物なんだけど。トルコのタイルと、フランスのガラスを合わせてあるんだ。

裏と表で、柄も表情も違うでしょ。
タイルもガラスも、職人の手作りで同じものはひとつもないんだ。」


見せてもらった鍋敷きは、この上に鍋なんか乗せたらもったいない!!と恐縮してしまうような、繊細な手書きの模様が入った素敵なものだった。


こんな素敵なモノ…


お値段も、それなりのモノに違いなくて。
恐る恐る値札を確認。



やはり…。
私には手が出ない。


と諦めたとき、


「もし気に入ってくれたら、僕からプレゼントしますよ。せっかく、こうして出会えたお祝いに。」


「ええ!そういう訳にはいきませんよ!こんな高価なもの…」


いえいえいえ!!と手のひらを顔の前でぶんぶん振った。


「いえ、僕があっちで気に入ったモノを、寧々さんが気に入ってくれたなら、すごく嬉しいから。

是非プレゼント、させてください。」



と、なかば強引に押し切られ、吉川さんはスタスタとレジに向かう。


「ラッピングするので、店内見て少し待っててくれますか?」


ラッピングまでしてくれるらしい吉川さんは、器用な手つきで包装紙やリボンを出してきた。

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