この恋が実るなら


店内を見ながら、吉川さんを盗み見る。
きれいな包装紙が、魔法みたいにあっという間にひだひだになって、くるくるっと柔らかいリボンがかけられる。

すごい・・。
商品棚の隙間からレジカウンターを覗きみてると、


「器用でしょ。」


突然背後に現れた陽子にギョッとした。


「月1~2回くらいの頻度で海外買い付けに行くのよ。行き先はその時によって違うけど、ヨーロッパ方面が多いかな。アジア雑貨も人気だから、ベトナムとか、タイ、インドなんかも。

見ての通り、柔らか~い物腰で、穏やかな人だけど、結構交渉力もあって本社からも期待されてるのよ。どう、気に入った?」


「うん、とっても素敵な人だね。私なんかには勿体無いくらい。」


「よかった!今夜ははじめてのデート、楽しんできてね。私は今日は閉店までの勤務だからさ。」


そう言って陽子はラッピングを終えた吉川さんのもとへ。


「吉川さん、寧々をよろしくね!
 楽しんできて。」


「はい、陽子さん。お店の締め、お願いしますね。今日はありがとうございました。では、お先に。」

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