この恋が実るなら


「いきなりこんな事言ったら、相当引かれるかもしれないけど。」


と前置きをして、吉川さんは顔の前で組んだ指の上に顎を乗せた。


「もし付き合うなら、この歳だし、結婚するつもりで付き合いたいって思ってる。

いい加減な気持ちでは、始めたくないんだ。」



いきなり重大発言、再び…。
驚きで見開いた目をパチパチさせる。


なんか、すごい出会いをお膳立てされてしまったような。。
こちらも、いい加減な気持ちでは付き合えないぞ。こんな恋愛おちこぼれの私には手に負えないのでは!?


でも、真っ直ぐで、いいな。


「いえ、逆に誠意を感じます。私もこの歳から新しい恋をするのは、ちょっと躊躇してたので…。」


ホッとした表情で、吉川さんが大きく息をする。


「あーー、なんか緊張した。とりあえず伝えたい事伝えられたから、ホッとしたよ。」


全然緊張してるように見えないんですけど。


「陽子が、吉川さんは穏やかに見えて交渉上手って言ってましたけど、ホントですね。」


あはは、と笑うと、


「えー、交渉なんてしてるつもりじゃなかったんだけど。
でも、確かに押しは強いかも。自分の要望とか気持ちは、いつもちゃんと伝えるようにしてるよ。」


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