この恋が実るなら
食事を終えて、海沿いを走る。
景色のいいスポットがあったので、車を停めた。
「ちょっと歩こうか」
「はい、お散歩気持ち良さそうですね。」
暖かいから、上着いらないかも。と言ってジャケットは車に置いていった。
海風と、波の音が気持ちいい。
遠くには大きな貨物船がゆっくりと横切っていく。
海水浴の季節には、人でいっぱいになるんだろうなぁ。
でもこの季節は人もまばらだ。
「座ろうか。」
ビーチの砂浜の手前にある幅広い階段状のところで立ち止まった。
先に彼女を座らせ、その後ろから彼女を膝の間に入れて、優しく抱きしめるように腰掛ける。
「こうして君と一緒にいられて、嬉しい。」
ちょっとずつ心の距離も縮まって、彼女の警戒心もなくなっている。
素直に体を預けてくれた。
「私も、です。」
少し恥ずかしそうに振り返って笑顔で答えてくれるから、顔が近づいた。
「キス、していい?」
小さくコクンと頷くのを確認して、そっと唇を寄せた。
彼女の柔らかい唇が触れる。
愛おしい。