この恋が実るなら


そう言うと、ワインボトルとグラスをローテーブルに置いて、ソファに座る私を優しく抱きしめた。


蒼一郎さんの吐息が肩にかかる。
体中に蒼一郎さんのぬくもりを感じて心地よくドキドキする…。



少し肩を離して、今度は顔が近づく。
キレイな目。
蒼一郎さんの顔がさらに近づいて、唇が重なる。今日2回目のキス。


海でしたキスより、少し深まる。
少しずつ角度を変えて、蒼一郎さんの柔らかい唇が私の唇を啄む。


妖艶なキスじゃなくて、とっても優しいキス。
「大事にする」って言ってくれた蒼一郎さんの言葉が浮かんだ。
本当に誠実な人だ。


心があったかーい。
そっと唇を離すと、お互い顔を見合わせて微笑んだ。


「幸せ。ワインでも飲もうか。」


蒼一郎さんは慣れた手つきでボトルのコルクを抜き、ワインをグラスに注ぐ。
コポコポという音が耳をくすぐる。


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