この恋が実るなら
「あ、そういえば、蒼一郎さんいつもドライバーだから、こうして一緒にお酒飲むの、初めてですね。」
「そうなんだ。僕は、基本うち飲みが好きなの。自分ちの方が落ち着くし。
ほら、昔、『飲み友達は、妻です。』ってCMやってたの、覚えてる?
あれ、理想。」
とにっこり笑ってグラスに口をつける。
もう、妻って…。
この人は、また結婚を匂わす。
陽子の紹介じゃなかったら、結婚詐欺師かと疑いたくなるほどだ。
複雑な顔をしてると、
「あはは、付き合い始めたばっかりで、こんな事言ったら引いちゃうか。」
と、笑われた。
「引いてません。引いてませんけども、、
こんな順調にいろいろ進んで、こんな私のこと丸ごと好きって言ってくれて、
何だか腑に落ちないだけです。」
「はは、腑に落ちないって、やっぱり寧々って面白いね。
好きになるのに理屈なんて、ないでしょう。」
「でも、まだお互いの事あんまりたくさん知らないのに、そんな先のこと、想像できません。」