この恋が実るなら


キスは口から離れて、私の首筋をたどる。


「ん…あぁ…」


耳を刺激されて、つい声が出てしまった。恥ずかしい。


セカンドバージンとまでいかなくても、こんな事も随分久しぶりな気がして緊張する。


少し体を強張らせた私に気付いて、蒼一郎さんはキスをやめた。



「ごめんね、何もしない、なんて宣言しておきながら。つい寧々がそばにいるのが嬉しくて、がっついちゃって。」


ちょっと気まずそうに体を離した。


「いえ、大丈夫。ちょっと緊張しただけ。」


「今日は遠出して疲れただろうし、お風呂入って寝ようか。お湯張ってくるよ。」


そう言って、バスルームの方へ行ってしまった。

どこまでも、優しい。
でも、寝ようかって、きっと一緒のベッドでだよね。
ドキドキするなぁ。



「お風呂、先に入ってね。タオルとかも洗面所に置いといたから、自由に使って。」


「はーい」


と返事して、持ってきた荷物の中からパジャマ用の部屋着と…ちょっと可愛い…下着をコソッと準備した。


出番があるかは、わからないけど、一応ね。
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