お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
東京の暗い空の下、明るくライトアップされたグラウンド。
カキーンッと小気味よい音とともにボールがネットに飛んでいく様を私は茫然と見つめていた。
智哉にタクシーに押し込まれて連れてこられたのはバッティングセンターだった。
結構年季が入っている内装で、私たちの他に二人の男性客がバットを振っている。
「よし、やるぞ」
「やるって……」
「打つんだよ」
智哉がコートとスーツの上着を脱いだ。
ネクタイを緩めてバッドを片手にボックス内へ入っていく。
「見とけよ」
私を一度振り返ると専用のコインを入れて構える。
スクリーンの投手の映像が動いて投げた瞬間、空いていた穴からボールが飛んできて、智哉は思いっきりバッドを振った。
球はバッドに甲高い音を立てて弾かれて、空高く飛ばされた。
続けて五球ほど同じように打っていくと、一つが『ホームラン』と書かれた看板に当たって、音楽が鳴った。
「すごい!」
「バッドを持たせたら右に出るものはいないと言われた男だぞ、俺は」
ふふんと笑みを零す。褒められて満更でもなさそうだ。
智哉は全球打ち尽くすとボックス席から出た。