お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
「おお、マジで。俺は一本でも多く商品を売りたいの。絶対うまいからな」
「自信があるのね」
「自信がないものは売らない」
すごい自信だ。
澄んだ目で断言する彼に不覚にもまたドキリとさせられた。
智哉は高慢に見せかけているだけで実は純粋に誰にも負けない矜持と情熱を胸に秘めている。
最近になって、口の悪さは一種の距離を近づけるためのコミュニケーションなのだとわかってきた。
本当に辛辣な人間は落ち込んだ人間に対してあんなに優しくしない。
「昔は嫌だったんだけどさ」
その時、ポツリと智哉が言葉を漏らした。
「酒屋の息子ってことで、いじめられてた。中途半端にそのころ会社がデカくなって、妬みもあったと思うけど。『酒臭い』とか小学生で散々いじられて、ついに高校の時俺はグレた」
「へ!?」
「そして、手に負えなくて親父は高校卒業後、俺を海外留学と称して国外追放した」
留学という名の国外追放……。
金持ちだからこそできることだ。スケールの違いにあんぐり口を開いてしまう。
すると、智哉がケラケラ笑い出した。
「っていうのは嘘だけど、留学は本当。そこですっと楽になったよ。俺の価値を会社とか親とかで見る奴らがいなかったからな。何より、海外でも俺んとこの酒が並んでて。『俺の好きな酒はお前のとこが作ってんのか』って外人に言われた時、ちょっと誇りに思っちゃったんだよなぁ。俺んち、すげーじゃんって」
その瞬間の目の輝きといったら、こちらが思わず見惚れるほど生き生きしていた。