お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
本当に自分の仕事を誇りに思っている。
嘘偽りないその光にトクトクと心臓が小さくだけど、確実にリズムを加速していく。
「そうして智哉少年は厚生して今は立派な社会人になったというわけ」
得意げに言う彼に私は思わず吹き出した。
「立派って自分で言う?」
「いいだろ。俺、よく働いてると思うよ。まぁ好きだからだけど」
智哉は今度は味噌汁を呑んで「うまい」と嬉しそうに笑う。
あれだけ浮いて見えた智哉も今ではこの定食屋に馴染んでいる。
不思議な男だ。
害がないように見えて、唯我独尊。
周囲を巻き込んで自分のペースに持っていくけど、最後は優しさを見せる。
だから、一緒にいたくなる。
……え?
「おい、何ぼけっとしてんだ。そば伸びるぞ」
「え?あっ、ほんとだ!あちっ!」
慌ててそばを啜ると思いのほかまだ熱くてわたわたと水を含む。
「何やってんだよ」と智哉が呆れながらも空になったグラスにピッチャーから水を注いでくれる。
こういう少しの優しさも胸がきゅっとなるから、緩みそうになる口元を再び水を飲んでグラスで隠した。